Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かいじんにいのる

海神に祈る

田中 貢太郎

Lesen Sie 海神に祈る (かいじんにいのる) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.486 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

傍には総之丞の顔があった。松蔵は総之丞へ眼をやった。

「武市の旦那は、お聞きになりませんか」

総之丞は好奇らしい眼をした。

「あれじゃないか」

「あれとは、あれでございますか」

「礁の事じゃないか」

「何人かにお聞きになりましたか」

「聞いたと云う理でもないが、釜礁の事じゃろう」

「そうでございますよ」それから権兵衛を見て「旦那様はお聞きになっておりますか」

権兵衛は頷いた。

「今、総之丞から聞いたが、何か確乎した事を見た者でもあるか」

「乃公が見たと云う者はありませんが、妙な事を云いますよ」

「どんな事を云っておる」

「取りとめのない事でございますが、礁へ石鑿を打ちこむと、血が出たとか、前日に欠いであった処が、翌日往くと、元の通りになっておったとか、何人かが夜遅く酔ぱらって、此の上を歩いておると、話声がするから、声のする方へ往ってみると、彼の礁の上に小坊主が五六人おって、何か理の解らん事を云っておるから、大声をすると河獺が水の中へ入るように、ぴょんぴょんと飛びこんだとか、いろいろの事を云いまして」

「うむ」

「それに二三日、負傷をする者がありますから、猶更、此の礁は竜王様がおるとか、竜王様の惜みがかかっておるとか申しまして」