Japanische Klassiker mit Furigana
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かいじんにいのる
海神に祈る
田中 貢太郎
Lesen Sie 海神に祈る (かいじんにいのる) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.486 Zeichen · 26 Bildschirme
「そうか」
「それに、一昨日も昨日も負傷はしましたが、石の破片が眼に入ったとか、生爪を剥がしたとか、鎚で手を打ったとか、大した事もございませざったが、今日はあんな事が出来ましたから、皆が怕がって仕事が手につきません。私も傍におりましたが、二人で礁の頂上へあがって玄翁で破っておるうちに、どうした機かあれと云う間に、二人は玄翁を揮り落すなり、転び落ちまして、あんな事になりましたが、銀六の方は、どうも生命があぶのうございます」
「どうも可哀そうな事をしたが、あれには両親があるか」
「婆と女房と、子供が一人ございます」
「田畑でもあるか」
「猫の額ぐらい菜園畑があるだけで、平生は漁師をしておりますから」
「そうか、それは可哀そうじゃ、後が立ちゆくようにしてやらんといかんが、それはまあ後の事じゃ、とにかく本人の生命を取りとめてやらんといかん」
「そうでございます」
「それから、一方の手を折った方は、あれは生命に異状はなかろう」
「あれは、安田の柔術の先生にかかりゃ、一箇月もかからんと思います」
「しかし、可哀そうじゃ、大事にしてやれ、何かの事はつごうよく取りはかろうてやる」
「どうもありがとうございます」