Japanische Klassiker mit Furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lesen Sie 海難記 (かいなんき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.628 Zeichen · 56 Bildschirme
会議の結果、セネガル地方にたいするフランスの先取権が認められ、六十年ぶりにその地に三色旗をあげることになった。
その頃、ダカールに駐留していたフランス人が本土に書き送った手紙がある。
「この灼けつくような土地。ここに生棲するものはといえば、得態の知れない怪物と毒気と、奴隷だけだ。だが、近くに人間らしいものがいるので、まだしも助かる。この辺の黒人は、なにしてやっても喜ばない憂鬱なやつらで、悪気はないが、愚鈍で、不潔で、二た目と見られないような様子をしている。われわれにくれるものといえば、腐敗した駱駝の乳、塩分のある水、腐臭をたてるぞっとするような肉だけだ。ここに来てから、ただの一度も晴れた日に逢わない。太陽はいつも黒い雲の層(これは砂の竜巻なんだ)で蔽われ、食物の中に砂の粒が入っていないことは稀れである。イギリスなどで見る、どんな異様な天候よりまた奇異で、息もできないほど乾きあがっている。
昨日、近くを歩きまわってみた。いろいろなやつがヴェルデ岬の風景をほめて書いているが、みな大嘘だ。五十里四方、川も溝もなく、ひとしずくの真水も存在しない。一年のうち、八カ月以上は絶対に緑の色が見られない。