Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

りんらくのこうじょのおぼえがき

淪落の皇女の覚書

久生 十蘭

Lesen Sie 淪落の皇女の覚書 (りんらくのこうじょのおぼえがき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.649 Zeichen · 56 Bildschirme

Aozora Bunko

ジャンヌは扉のほうへ立って行くと、「夜は客をとらないことをよく知ってるでしょう。なぜこんな時間においでになるのですか。なんとおっしゃったってお入れしませんから、うるさくなさらないでお帰りになってくださいましね」と扉越しに断りをいった。酔漢はわけのわからないことをわめきたて、足踏をしたり扉を蹴ったりして暴れていたが、駄目だとさとったのか、あきらめて帰って行った。

レミュはいよいよ深まる不幸の淵をのぞきみ、いうにいえぬ苦悶に胸も張り裂ける思いをしていると、ジャンヌは椅子に戻ってきて、枯れきってかえって明るさを感じさせるといった淀みのない調子で、レミュにいった。

「おかしいと思うわ。こんな穢れた肉体を通ってくるくせに、ひとを愛するというこの気持が、汚れもせずに清らかなままで迸りでるというのは、いったいどういうわけなのでしょうか。あなたと待ち合せるために、大急ぎに醜業を片づけ、息せききってオペラまで駆けつける純真さには、私も自分でときどき感動したものでした。お別れしましょうね。弟が死んだので、今日まで私に負わされていた務めから解放されることになり、巴里に居ることもいらないのですから」