Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんやのしちょう

深夜の市長

海野 十三

Lesen Sie 深夜の市長 (しんやのしちょう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.982 Zeichen · 220 Bildschirme

Aozora Bunko

といって、持っていた筆の軸でやっとうの真似をしてみせた。続いて「君は何段か」というから「どういたしまして、無段です」というと「なんだ無段か、警官でも大抵二段や三段は持っているぞ。検事の威信に関する。今日からやり給え」という。「では主任さんは何段ですか」と訊ねてみたところ「俺か……俺は大したことない。ちょっと六段だ」といって、主任は更にふんぞり返ったが、その拍子に安楽椅子の背骨がガクンと音を立て、彼の身体は「呀ッ」と叫ぶ間もなく後へ抛り出されようとした。僕は愕いて椅子に飛びつくと、辛うじてこれを停めてやった。それでも主任はまるで軽業小僧のように両脚を頭よりも高くニョッキリ立てて、醜態を演じた。しかも彼は礼を云わなかった。僕は「僕は検事の椅子は嫌いです。判事の方を志望しても、剣道の段をとらにゃいかんですか」と訊ねた。主任はそれに只一言で答えた。「莫迦!」――宮仕えはまことに辛いものである。

「ところで君の今日の見習仕事だが……」と主任は程よいところで要領よく立ち直りながら「昨夜腹の痛くなかった連中は一同揃って囚人自動車に乗り、小菅刑務所の見学にでかけたぜ。