Japanische Klassiker mit Furigana
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しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
Lesen Sie 深夜の市長 (しんやのしちょう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.982 Zeichen · 220 Bildschirme
「……では、これより金庫を開きまアす」
立合の衆はまたもやワーッと喚声をあげたが、あとは中からどんなものが飛び出すかと一座は緊張の極に達し、水を打ったようにシーンと鎮まりかえった。
中谷助役は、金庫の前に片膝をついて、鍵穴に黄金の鍵をさし入れた。そして、ガチャガチャと右に廻したり、左に廻したりした。しかし何時まで経っても、金庫の扉は明かなかった。一座は早くも事態に気がついたらしく、ガヤガヤとザワめき立った。
「どうしたッ、早く開けろッ」「ガチャガチャはもう沢山だ。扉を明けるんだ」「なんだなんだ、一向開きそうもないじゃないかッ」
一座は再び騒然として来た。呶鳴る者、口笛を吹く者、カラカラ笑う者、いや大変な騒ぎになってきた。――中谷助役は死人のような顔をして、フラフラと立ち上った。それを見た瞬間、僕の心臓は早や鐘のように鳴りだした。
(これァどうしたのだ。――何か間違っているところがあるらしい! あの鍵がどうして役に立たないのだ)
僕の全身の血は、俄かに逆行を始めた???
そのとき傍で、傍若無人にカラカラと笑う者があった。愕いて振りかえってみると、そこには海坊主のような動坂三郎が大口を開いて、腹の底から笑いを爆発させているのだった。