Japanische Klassiker mit Furigana
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しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
Lesen Sie 深夜の市長 (しんやのしちょう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.982 Zeichen · 220 Bildschirme
と、僕があけすけな質問をすると、
「なアに付け焼刃さ。科学の方は速水輪太郎から輸入した聞き覚えだ」
「速水輪太郎?」
「うん、奇妙な街の科学者さ。そうだ、速水に、この謎を解かせるのが一番いい。君、いいやお前さん、済まないが、この時計とニッケル貨幣とを速水に届けてくれまいか。もちろん今手紙を書くがネ」
「…………」
呆気にとられている僕に構わず、老人はポケットを探って、小さい紙片を出し、その上にちょこちょこと何か走り書きをして、それをクルクルと丸めた。それから、汚いボロ布の中に、時計とニッケル貨幣と、その手紙を丸めたものを包んで、僕の手に渡した。
「これを速水輪太郎氏に届けるんですね。速水氏の所番地は?」
「なアに所番地なんか要るものか。……銀座のM百貨店の裏通りにブレーキという十銭洋酒立飲店がある。夜といわず昼といわず、そこで虎になっている年増女の客がいるから、そいつに云ってこれを速水へ渡してくれといえばいいんだ。それだけで分らなかったら、女の左の耳朶を見るがいい。そこにRと入墨がしてあるのが、その虎女だ」
僕はこのルンペンみたいな老人が、彼に似合わしからぬ色っぽい女を知っていることを聞いて驚いたが、老人は別に得意そうな色も見せなかった。