Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しぶやけのしそ
渋谷家の始祖
宮本 百合子
Lesen Sie 渋谷家の始祖 (しぶやけのしそ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.023 Zeichen · 133 Bildschirme
彼の追憶は、それが追憶であるという事実に於て、多分の想像が加えられるのを免れない。現実の苦痛は、その結果のみを握って、原因を手の届かない彼方に置いているという点に於て、また、多くの推測と仮想とを含まずにはいられない。総てのことがただ抽象化されて、その抽象を左右する傾向が、ただ、正隆の気質にのみ動かされることは、結果として、正隆の求め得る結論以外のものは出て来よう筈がない。
自分の正直な、真実な仕事が、劣等な疑と不公平な判断によって、現に、拒絶されたという事実は、翻って、妄想かも知れないと思いかけていた過去の、K県での経験までを、疑い得ない事実として、正隆を首肯させた。そうなると、彼の最初の踏み出しから、今日まで、正隆は、ただ不正の、悪策の的となっていたようなものなのではあるまいか。
悪計を運用する台として、或る処へ運び出されたようなものである。その運び出す餌として、自分は、僅かな、然し力強い幸福を覗せられた。幸福を厭う人間が、この世に独りでもいるだろうか? 皆は幸福を求める。その皆の求めるものを自分が求めて、釣り出されたことは、自分としては自然である。