Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うずまけるからすのむれ

渦巻ける烏の群

黒島 伝治

Lesen Sie 渦巻ける烏の群 (うずまけるからすのむれ) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.240 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は、袋を鋏で切り開けた。お守りが沢山慾張って入れてある。金刀比羅宮、男山八幡宮、天照皇大神宮、不動明王、妙法蓮華経、水天宮。――母は、多ければ多いほど、御利益があると思ったのだろう! それ等が、殆んど紙の正体が失われるくらいにすり切れていた。――まだある。別に、紙に包んだ奴が。彼はそれを開けてみた。そこには紙幣が入っていた。五円札と、五十銭札と、一円札とが合せて十円ぐらい入っている。母が、薪出しをしてためた金を内所で入れといてくれたのだろう。

「おい、おい。お守りの中から金が出てきたが。」

吉永は嬉しそうに云った。

「何だ。」

「お守りの中から金が出てきたんだ。」

「ほんとかい。」

「嘘を云ったりするもんか。」

「ほう、そいつぁ、儲けたな。」

松木と武石とが調理台の方から走せ込んで来た。

札も、汗と垢とで黒くなっていた。

「どれどれ、内地の札だな。」松木と武石とはなつかしそうに、それを手に取って見た。「内地の札を見るんは久しぶりだぞ。」

「お母が多分内所で入れてくれたんだ。」

「それをまた今まで知らなかったとは間がぬけとるな。……全く儲けもんだ。」

「うむ、儲けた。