Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おんせんだより
温泉だより
Lesen Sie 温泉だより (おんせんだより) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.095 Zeichen · 13 Bildschirme
これが誰にでも穿ける靴ならば、わたしもこんなことを言いたくはありません。が、棟梁、お前さんの靴は仁王様の草鞋も同じなんだから」と頭を下げて頼んだと言うことです。けれども勿論半之丞は元値にも買うことは、出来なかったのでしょう。この町の人々には誰に聞いて見ても、半之丞の靴をはいているのは一度も見かけなかったと言っていますから。
けれども半之丞は靴屋の払いに不自由したばかりではありません。それから一月とたたないうちに今度はせっかくの腕時計や背広までも売るようになって来ました。ではその金はどうしたかと言えば、前後の分別も何もなしにお松につぎこんでしまったのです。が、お松も半之丞に使わせていたばかりではありません。やはり「お」の字のお上の話によれば、元来この町の達磨茶屋の女は年々夷講の晩になると、客をとらずに内輪ばかりで三味線を弾いたり踊ったりする、その割り前の算段さえ一時はお松には苦しかったそうです。しかし半之丞もお松にはよほど夢中になっていたのでしょう。何しろお松は癇癪を起すと、半之丞の胸ぐらをとって引きずり倒し、麦酒罎で擲りなどもしたものです。けれども半之丞はどう言う目に遇っても、たいていは却って機嫌をとっていました。