Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
もちろん朝枝も、いつのまにか、例の秘密場所を嗅ぎつけたのですが、しかしどうしてそれが、かくも怖ろしい惨劇を生んだのでしょう。
貴女が艇長を思慕する声は、同様に朝枝も唆って、思春期の憧れを、艇長に向けていたのですがいよいよあの手紙を見るに及んで、はしなく心の中に、病的なものが立ち罩めてゆきました。と云うのは、母と競り合い、陥し入れてまでも、幻の彼を占めようとしたからです。
夢の充実――それが八住を殺し、母である貴女を、拭いのつかない危地に陥し込もうとしたのでした。
しかし、あのアマリリスの奇蹟は、父親のひたむきな愛の中から生れ出たのですよ。
八住は毎夜払暁になると、不自由な身体を推してまでも花市に行って、蕾のアマリリスを買っては、取り換えていたのです。そして、前夜のものは、防堤から海の中に投げ入れていたのですが、そのとき心覚えに印したものが、貴女も知る、火術符号めいた形だったのです。ところが、悲しい事に、盲人が描く直線は、腕の廻転を軸に徐々とまがってゆくのですから、かえって八住は、毎日防堤との距離が遠くなるのを考えて、そこがあるいは、岬の角ではないかという、錯誤を起してしまったのです。