Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
私は、心のなかで、チェッと舌打ちをしました。ところへ、
「呼んで……、ねえ、早く」
とヘミングウェー嬢が、胸をそらし、苦しそうに呻きはじめました。
「はやく、チャンドさん、引っ張って来てよう」
「ですが」
さすがに私も狼狽え気味になって、
「考えてみますと……あれから、もう四、五時間も見えないのですから」
「そう、そう云えば……」
と、痛みを忘れたように、不安気に眼を据え、
「あれ、何時だったろう。パドミーニは、食堂から出て、たしか……」
と、だんだん、ミス・ヘミングウェーの顔は羞らったようになり、観念の色がなに事かを決めようとしました。
とその時、通りのどこかでワアッと喚声があがると、数発の、銃声とともにおそろしい音が部屋に起りました。窓硝子が木葉微塵となり、どこか、蒲団のしたからキナ臭い匂いが立ちのぼってきます。
その瞬間、せっかくの機会がぶち壊れてしまったばかりか、ミス・ヘミングウェーは、恐怖に駆られワアッと泣きながら、地下室の酒倉へ逃げ込んでしまったのです。
つまりこれは、カリーの女神の嘉し給わなかったことでしょうか。それからも、ミス・ヘミングウェーは相変らずの態度で、おお機会と、叫ばせられたのも何度かありました。