Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
そりゃ、左枝検事でなくても、たまらないでしょうからね」
「それで、職を退いた後の左枝検事は、自暴自棄という有様で、奥様には去られるし、もともと資産というほどのものもないし、今では、どうして暮しておられるのか、まったく沙汰の限りじゃよ。ああ、憔悴れ果て、うらぶれた姿を見たら、誰が、法衣に包まれた昔の検事を思うじゃろうか。だが儂には、そういう気持が、てんで分らんがねえ。自分の起訴が正しかったか正しくなかったかって。ハハハハ、あの御仁は哲学者じゃよ」
そう云って警部補は、さも自分には、左枝の辞職が腑に落ちぬといったような素振りを見せた。しかし、若い巡査には、左枝の苦悶も、呵責にひしめくような有様も、しかもそうしていながら、なにかを凝然と見詰めているような気がしてならなかった。
「私は左枝検事に、なにかあの方だけが疑問に思っていることがあるのじゃないかと思いますよ。人間の力では、とうてい割り切れない問題を、あの方だけは、御自身でやり遂げようとなさっているのではないでしょうか。それに……」
と云いかけて、巡査はハッとしたように口を噤んだ。二人の間には、時代の隔たりがある。