Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
下腹を一文字にやられてね、しかも、殺ったそいつが、左利きときてるんだ」
「ああ、それじゃ稲野谷……」
お勢が身悶えをして、絶え入るような叫びをあげた。すると、それを聴いたとき、三人は、ハッと打ち据えられたように、顎を竦めるのであった。
ああ、なんという符合か、三伝は左利きなのである。
しかも稲野谷兵助は、ついぞ先刻、終発間近にこの家を去ったわけではないか。
ここに、なかば信じられ疑われもしていたところの、三伝の生存に、ようやく確信が植え付けられたのである。彼は、この一夜を踏み出しにして、裏切られ、死地に追い込まれた一味に、復仇を遂げようとするのではないか。それは沈黙のなかを、虚空から凝っと見詰める眼があるような気がして、なにか由々しい怖ろしいものがぞくぞくと身のうえに襲いかかってくるような感じだった。そうしてその一夜は、地蟲の声とともに、夜陰を深めてゆくのである。
ところが、それから二時間ばかり経った後に、左枝は、灼きつくような渇きにふと目を醒した。
さっきのあの室で、椅子に酔い潰れたような気もするが、それから何処へ運ばれたのか、いっこうに覚えがなかった。