Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
と云うのが、明治廿一年三月のこと――嵯峨家の当主は、そのおり快走艇に乗じて日本に廻航した、著名な生理学者ベルナルド・デ・クイロス教授に打ち明けて、帰途その孤島に、立ち寄られんことを懇願したのであったが、どうしたことか、その後ハノーヴァーに移った教授からは、なんの音沙汰もなく、そうして人移り星変るうちに、いつとはなく忘れ去られてしまったのであった。
ところが、今年になって、はしなくもその孤島にまつわる、秘密が曝露されたと云うのは、教授の遺品として、一通の文書と油絵とが送られて来たからだった。
作者は、次行にその全文を掲げて、この事件の発端を終りたいと思う。
――一八八七年四月十七日日没間近の頃、余は嵯峨家の依頼によって、北緯二十七度六分東経百三十度五分の海上を彷徨した。
しかして、夷岐戸島の姿を遠望するに及んで、余はまったく度肝を抜かれた。珊瑚礁の奇観も、ここに至っては、海に根を張って空に開いた、大花弁というほかにないであろう。その赤紫色の塊団は、さながら和蘭風の刈籬を想像させた。島影は、落日のため硫黄色に焼け爛れて、真直な一条の光線が、中央にある小丘の上に突き刺っていた。