Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
それは、彼自身にも俳優の経験があるばかりでなく、特殊演劇保存という見地からして、この一座とは何かと親しかった。
そこは、武州草加の芝居小屋、年も押し迫った暮の廿八日のこと――。
はや春興行に、乗り込みまでも済ました一座のものは、薄汚い仕度部屋のなかで、車座になっていた。
ぐるりには大入袋や安っぽい石版摺りの似顔絵などが、一面に張られていて、壁地の花模様などは、何が何やら判らないほどに、色褪めていた。
すべてが、腐った沼水にうつる水際のように、なんともいえぬ陰気な代物ばかりだったのである。
「どうだね真鳥屋、これには覚えがあるだろうが」
法水にそう云われて、里虹は慇懃に頷いた。彼は、懐古とも怖れともつかぬ異様な表情をして、凝っと伏目になっていた。
年のころは、六十を幾つか越えていて、牡牛のような、がっしりと肥えた多血質の身体をしていた。おまけに、台詞以外には吃る癖もあり、かつは永らくの阿片吸飲者でもあって、皮膚にはどこか薄気味悪い――まるで象皮腫のそれのような浮腫が一面に拡がっているのだった。
しかし、彼が孤島から救われた一人であることは、ここで贅言を費やすまでもないことだろう。