Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
それは、懸命に唇を噛んで、なにかの激奮を耐えているかに見えた。
「その村次郎のこってすが、わっしゃほんとうに、済まねえことをしてしまったんで。かねて先生から、役の性根や心理の解釈に、いろいろと教えていただきましたが、それが今度という今度は、わっしにゃ恨めしいんで……。じつは久米八の兄妹は村次郎ではなく、やはり、このわっしだったのです」
と彼は、思いもつかぬもの静かな態度で語りはじめた。
「ねえ先生、聴いておくんなさい。いつだったか知らねえが、人間っていうやつは、自分の心の動きをなにかの図や、線や角などで表わしたがるという話を伺いましたが、それが、あの晩の里虹に現われたのです。
あの時窓の外を見て、風にはためいている幟をしばらく眼に止めていましたが、その後で、吹いているからいいようなものの、風が収まりゃ事だぜ――と云ったものです。
ところが、あの翌朝、風が収まると姿が見えなくなったのですから、どうもその暗合にわっしたちは不思議な魔力があるのではないかと、考えるようになりました。そして、磁石にでも引かれるように、その人間放れのした蠱惑に、ぐいぐいと引かれていったのです。