Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
が、チカチカと鈴のように鳴ったことであろう。
こうして、はしなくも儀右衛門が、幻影の世界に浸りはじめると、彼は別人のような気がして、一段と高い生活に上ったように考えられた。
まったく、その夢の最高頂においては、あの厭わしい現実の苦悶と拮抗できるのであった。しかし、一方において彼は、その人魚の形が、両肢の癒合した一本肢という、一種の畸形であることも熟知しているのだけれど、それとて、彼の夢を妨げる何ものでもなかったのである。
おそらく、そうでもしなければ、彼の心は均衡を失って、たちまち狂いの、どん底に叩き込まれたであろうが、そうして一方では、身も世もあらぬ悩みに悶え、また片方では、朦朧とした夢を楽しんで、からくも彼は、狂気の瀬戸際で踏み止まることができたのであった。
すると、儀右衛門に不思議な心理が起りはじめた。
と云うのは、考えても考えきれぬような異様な撞着ではあるけれども、そうして、人魚に伝説の衣を着せ、美しい霧一重に隔てて眺めはじめてからというものは、どうしたことかそれまで軽い愛着を覚えていた、久米八に対する情が消え失せて、さらにしぶとい、燃えさかるようなそれを、今度は逢痴に求めるようになってしまった。