Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
「まあ朝枝さん、私が持って来たのですって、……いったい貴女は、何を云うのです? お母さんは、貴女を癒してくれたこの花に、感謝こそすれ、なんで粗略に扱うものですか。
サア家へ帰って、すぐ床にお入りなさい……貴女はまだ、本当ではないのですよ」
その思いもよらぬ奇異な場面にぶつかって、しばらく法水は、花と朝枝の顔を等分に見比べていたが、
「なんだか知りませんが、僕にこの花のことを聴かせていただけませんか」
「それは叔父さま、こうなのですわ」
と朝枝は、法水の顔にちらついている、妙に急迫した表情も感ぜず語りはじめた。
「私は一月ほど前から、得体の知れない病いに罹りました。熱もなくただ瘠せ衰えてゆきまして、絶えずうつらうつらとしているのです。
あとで聴きますと、医者は憂鬱病の初期だとか何かの腺病だとか云ったそうですが、どんなに浴びるほど薬を嚥んでも、私の身体からは日増しに力が失せてゆくのでした。そうして、だんだんと指の間が離れてゆくのが、朝夕目立ってゆくうちに、このアマリリスの蕾が、ふっくらと膨んでまいりました。
私はそれを見て、果敢ない望みをこの花にかけてみたのです。