Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
お父さんが、そういう行動を始めたのは、何日ごろだったか」
「でも、それ以前はどうであったか存じませんが、とにかく臥せりながら気づきましたのは、さあ半月ほどまえ、今月の十日からでございます。つまり、『鷹の城』が来てから十日の後、また三人の盲人の方は、その二日まえ――五月二十九日にここへ参りましたのです」
と朝枝は云って、なにかときめいたように躊躇していたが、やがて胸を張って、口にしたものがあった。
「それから、もう一つ申し上げたいのは、父のそうした行動が始まった頃から、奇妙に母の態度が変って、荒々しくなってきたことです。ですから、一日中母の眼を避けて、父は紡車に獅噛みついていたのでしたわ。そのうえ、上の入歯を紛くしたせいもあったでしょうか、いやに下唇ばかり突き出てしまって、それを見るとほんとうに、ひとしお家畜めいて憐らしく思われました」
とその声が、ふと杜絶れたかと思うと、彼女は瞳を片寄せて、耳を傾しげるような所作を始めた。
「ホラ、お聴きでございましょう。向うの室から、コトリコトリと聴えてくる音が……。あれがいま申し上げた紡車なのです。でもまあ、こんな時、誰が廻しているのでしょうねえ」