Japanische Klassiker mit Furigana
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らどうせんせい
潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集 (らどうせんせい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.093 Zeichen · 33 Bildschirme
用の時は旦那様に頤で指図をし、それを旦那様が女中たちに取次ぐ。その癖お二人で室内に籠っていらっしゃると、ドーアを固く締めて、中でペチャクチャおしゃべりをしていらっしゃるのが微かに聞える。何ぼ何でも随分威張った奥様だと云うのであった。
「ふゝん、人を散々利用して置いて、今時分玄関拂いを喰わせるなんか馬鹿にしてやがる。」―――記者は癪に触ったので、又裏口の扇骨木垣を乗り越えて、北向きの窓の下に忍び寄った。夏のことなので植え込みの葉が繁っているし、硝子障子とカーテンが半分ばかり開いていて、隙見をするには都合がよく、中の様子がほゞ窺われる。此の前小女が腰かけていた俎板のようなデスクの上に今度はパジャマを着た真弓夫人が腰をかけ、脚をぶらん/\させている。先生は例の郵便局員の如き上っ張りを纒って、夫人の下に跪いて、両手で彼女の左の素足をいじくりながら、何かしている。よく見ると先生の手の中には、蝋細工だか護謨細工だかの、殆ど実物に紛うばかりの足の趾がある。
「ね、これならお前のほんとうの趾も同じことだよ。どう? うまく篏った? 痛いかね?」
それを夫人の足に取り附けながら、とても甘ったるい調子でそう云っているのは先生である。