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Japanische Klassiker mit Furigana

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らどうせんせい

潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集 (らどうせんせい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.093 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

「もう何年ぐらい?………二三年?………三四年ぐらい?」

「えゝ、まあ、―――」

こゝで会話がポツリと途切れた。記者が出来るだけ遠慮深く、辞を低うして質問しても、先生の答は不明瞭で、物を半分しか云わない。のみならず、声が頗る低音で、神経質な顫えを帯び、語尾は曖昧に口の中へ消えてしまう。「傲慢な人」と云う評判であるが、話をするにも相手の顔をまともに見ないようにして、たま/\視線がカチ合うと直ぐにその眼を外らしてしまう所など、何だか斯う、処女のように小心で、臆病らしい素振りもある。

仕方がないから記者は暫く沈黙して、その間に篤と先生の身なりを拝見することにした。全体、家の様子から考えて見て、主人も定めし此の庭園や部屋にふさわしい、キチンとした服装で出て来るだろうと豫期していたのに、豈図らんや先生の身なりはちょっと記者にはえたいの分らぬ恰好である。あのだぶだぶした、裁判官か郵便局員が着ていそうな不思議な上ッ張りを纒っているのは、何か知らん? 腰から上はルパシカのようでもあり、支那服にも似ているけれど、襟の工合や、括り紐の附いた袖口の塩梅がその孰れとも違っている。