Japanische Klassiker mit Furigana
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らどうせんせい
潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集 (らどうせんせい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.093 Zeichen · 33 Bildschirme
「成る程、此れは噂に聞いた通り、餘程気むずかしい人だな。」
記者は急いで吸いかけの煙草を灰皿に入れ、椅子から身を起し、「気を付け」のような姿勢を取って先生に敬意を表しながら、直覚的にそう感じた。先生の歳は四十五六、或は三四ぐらいでもあろうか。巾着頭の、髪を綺麗に分けているので、小鬢のところに白髪が二三本生えているのを気に止めなければ、それほどの歳のようには見えない。が、顔は太っていると云うよりは青ん膨れにふくれていて、それがむうッと、怒っているような感じを与える。おまけに眼瞼の脹れぼったそうにむくんでいるのが、一層その相を険しくしている。寝起きのせいでそう見えるのか、体の調子が悪いのであるか、腎臓病の患者にあるような厭な血色だと記者は思った。
「やあ、お待たせして失礼を。」
「はッ、お休みちゅうのところをどうも、………却って恐縮に存じます。」
先生が椅子に就いたので、記者も再び、恐る/\腰をおろした。
「―――しかし、此の辺は非常に閑静で、いゝ処のようでございますな。先生はもう長いこと、此方にお住いでいらっしゃいますので?」
「長い―――えゝ、―――そんなに長いことは、―――」