Japanische Klassiker mit Furigana
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らどうせんせい
潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集 (らどうせんせい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.093 Zeichen · 33 Bildschirme
と云う音をさせて、味噌汁臭いおくびをする。洋行をした先生にも似合わぬ無作法な話だけれど、多分たった今、遅い朝飯を腹一杯たべたのであろう。「はゝあ、成る程、此の様子では腎臓よりも胃が悪いのじゃないのかな」と、記者は思った。そして自分の空腹に比べて、先生の胃の腑の病的な飽満状態が、羨ましいような、面憎いような気がした。
「あの、唯今拝見いたしますと、お庭の方に花壇があるようでございますが、………」
「うん、ある。」
と、先生は云った、とたんにチラリと偸むように記者の顔を一瞥して、やがて瞳を遠い所へ据えたのは、大方問題の花壇の方を見ているのだろう。庭の明りがさし込んで来るので、土気色をした先生の顔にも、さすがに一脈の春の光が反射している。
「大分陽気が暖かになって参りましたが、此れからそろ/\園藝などには好い季節でございますな。」
そう云ったが、手答えがないので、記者は二の句を附け足さなければならなかった。
「花壇には主に、どう云う花をお作りになるのでございましょう?」
「さあ、別段どうと云って、………」
「先生御自身で種をお蒔きになりますので?」
「う、………あゝ、………」