Japanische Klassiker mit Furigana
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らどうせんせい
潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集 (らどうせんせい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.093 Zeichen · 33 Bildschirme
「はあ、左様で、」
よくは分らなかったけれど、記者は独り合点をして、
「何かもう少うし、そう云う方面のお話を伺えませんでしょうか? 花の話、園藝趣味と云ったような事でも、―――」
「うん、………そう云うことには餘り興味がないもんだから、………」
「でも、どう云う花がお好きだとか、お嫌いだとか云うようなことは?」
「好きと云えば大概な花は好き―――と云うより外はない。………」
その時先生は又おくびをした。そして言葉尻と一緒に、それをもぐ/\と嚥み下した。
此れは餘程変った人だ、随分気むずかしい人間にも会ったが、こんな奇妙な癖のある人を見たことがない。―――記者はつく/″\呆れたような表情で、恰も珍しい動物か何かを眺めるように、先生の顔を覗き込んだ。覗き込まれても先生は平気で、知らん顔をして横を向いている。「口を利くのは大儀だが、顔ならいくらでも見せてやる」と、云ったような態度である。一体此の人には神経と云うものがあるのか知らん? どんな人間でも他人と応対をする場合に、ちょっとぐらいは愛想笑いを洩らすものだのに、此の先生は決して洩らさない。その無愛想がまた普通とは違っていて、たまには笑おうと努めるのだけれども、笑いかけると直ぐに笑いが消えてしまうのではないだろうか? その證拠にはおり/\口もとをピクピクさせて、笑いの出来