Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうねん
潤一郎ラビリンスI――初期短編集
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスI――初期短編集 (しょうねん) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.319 Zeichen · 84 Bildschirme
「坊ちゃん、お母様がお友達と仲よくこれを召し上がるようにって。………それから今日は好いお召を召していらっしゃるんですから、あんまりお徒をなさらないように大人しくお遊びなさいましよ」
と、女中は遠慮している私に強飯やきんとんを勧めて次へ退って了った。
物静かな、日あたりの好い部屋である。燃えるような障子の紙に縁先の紅梅の影が映って、遥かに庭の方から、てん、てん、てん、とお神楽の太鼓の音が子供達のガヤガヤ云う騒ぎに交って響いて来る。私は遠い不思議な国に来たような気がした。
「信ちゃん、お前はいつも此のお座敷にいるのかい」
「うゝん。此処は本当は姉さんの所なの。彼処にいろんな面白い姉さんの玩具があるから見せて上げようか」
こう云って信一は地袋の中から、奈良人形の猩々や、極込細工の尉と姥や、西京の芥子人形、伏見人形、伊豆蔵人形などを二人のまわりへ綺麗に列べ、さま/″\の男女の姿をした首人形を二畳程の畳の目へ数知れず挿し込んで見せた。二人は布団へ腹這いになって、髯を生やしたり、眼をむきだしたりして居る巧緻な人形の表情を覗き込むようにした。そうしてこう云う小さな人間の住む世界を想像した。