Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しょうねん

潤一郎ラビリンスI――初期短編集

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 潤一郎ラビリンスI――初期短編集 (しょうねん) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.319 Zeichen · 84 Bildschirme

Aozora Bunko

切符売場の前で梶棒を据えられた時、私は俥から下りようとして、着物の裾が汗ばんだ両脛へ粘り着いた為めに、危く脚を縛られて倒れそうになった。

電車ならば大丈夫………こう信じて、無理やりに安心しようと努めて居た私の神経は、もう此の暑熱の威嚇にさえ堪えられなくなって居たのであった。天満橋までの切符を買ったものゝ、兎に角七八分休息した上、神経の鎮静するのを待とうと思って、力なくベンチへ腰を掛けたまゝ、私はぼんやりと、乞食のように大道を眺めて居た。

電車が、市街の其れよりはもっと頑丈な、猛獣を容れる檻の如く暗黒に分厚に造られた電車が、何台も何台もぶうッ、ぶうッと警笛を鳴らしつゝ大阪の方から走って来て沢山の乗客を吐き出して、入れ代りに多勢の人数を積み込むと、再び大阪の方へ引き返して行く。二三分置きに次から次へと、幾回も発着する。私は勇を鼓して何度も立ち上ったが、改札口の処まで行くと、恐ろしい運命に呪われた如く足が竦んで、動悸が激しくなって、又よろよろと元のベンチへ戻って来た。

「旦那、俥はいかゞでございます。」

「ナニいゝんだ。己は人を待ち合せて、大阪へ行くんだから。