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Japanische Klassiker mit Furigana

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こぞうのゆめ

潤一郎ラビリンスV――少年の王国

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.989 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして正午の休みには又帰って来て、一としきり晝飯の支度をする。午後になれば洗濯もするし、赤ん坊のおしめの世話もしなければならない。それを見かねて、父親は勝手口へ来て水を汲んだり掃除を手伝ってやったりした。

一家の不幸は今が絶頂と云うのではなく、まだ/\此れからいくらでも悪くなりそうであった。貝島は、ひょっとすると自分にも肺病が移って居るのではないかと思った。移るくらいなら、自分ばかりか一家残らず肺病になって、みんな一緒に死んでくれゝばいゝとも思った。そう云えば近頃、啓太郎が時々寝汗を掻いて妙な咳をするらしいのも気になって居た。

其れや此れやの苦労が溜って居る為めか、貝島はよく教室で腹を立てゝは、生徒を叱り飛ばすようになった。ちょいとした事が気に触って、変に神経がイライラして、体中の血がカッと頭へ逆上して来る。そんな時には、教授中でも何でも構わず表へ駈け出してしまいたくなる。つい此の間も、生徒の一人が例のお札を使って居たのを見付け出して、

「先生がいつかもあれ程叱言を云ったのに、まだお前たちはこんな物を持って居るのか!」

こう云って怒鳴りつけた時、急に動悸がドキドキと鳴って、眼が眩んで倒れそうであった。