Japanische Klassiker mit Furigana
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こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.989 Zeichen · 144 Bildschirme
女人地獄使、永断佛種子、外面似菩薩、内心如夜叉、―――こう書いてある所を見ると、たとい心は夜叉のようでも、面は美しいに相違ない。その證拠には、この間都から参詣に来た商人が、うっとりと麿の顔を眺めて、女子のように愛らしい稚児だと独り語を云うたぞや。」
「まろも先達の方々から、そなたはまるで女子のようだと、たび/\からかわれた覚えがある。まろの姿が悪魔に似て居るのかと思うと、恐ろしくなって泣き出した事さえあるが、何も泣くには及ばない、そなたの顔が菩薩のように美しいと云うことだと、慰めてくれた人があった。まろは未だに、褒められたのやら誹られたのやら分らずに居る。」
こうして話し合えば話し合うほど、ます/\女人の正体は、二人の理解を越えてしまうのであった。
大師結界の霊場とは云いながら、此の山の中にも毒ある蛇や逞しい獣は棲んで居る。春になれば鶯が啼いて花が綻び、冬になれば草木が枯れて雪が降るのは、浮世と少しも変りがない。只異なって居るのは女人と云う者が一人も居ない事だけである。それほど佛に嫌われて居る女人が、どうして菩薩に似て居るのだろう。それほど容貌の美しい女人が、どうして大蛇よりも恐ろしいのだろう。