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Japanische Klassiker mit Furigana

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こぞうのゆめ

潤一郎ラビリンスV――少年の王国

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.989 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

、第4水準2-88-74)でございます。千手どのはもう此の山には居りませぬ。たとい人に頼まれたとは云え、心にもない偽りを申したのは、わたくしが悪うございました。どうぞお許し下さりませ。なぜわたくしはあの時に、千手どのを止めなかったのでございましょう。」

そう云いながら、瑠璃光丸は畳へひれ伏してくやし泣きに身を悶えた。

自分が兄とも頼んで居た千手丸は、今ごろ何処をうろついて居るだろう。いかなる野末の草に寝ね、露に濡れて居るだろう。半日のうちに戻って来ると、あれ程堅く云い残した言葉を思えば、きっと何か変事があったに相違ない。此の上は徒らに山内を捜索するより、浮世を隈なく調べて貰いたい。そうして幸いに生き長らえて居たら、一刻も早く救い出して貰いたい。―――瑠璃光丸はそう決心して、叱られる事を覚悟しながら、千手が山を降りた動機を、包まず上人に白状したのであった。

「一旦浮世へ出て行ったからには、大海の中へ石ころを投げたも同然。千手の体は、もうどうなったか分りはせぬ。」

上人は少年に対して威厳を示す為めに、ことさら眼をつぶって息を吸い込むようにして、考え深い口調で云った。