Japanische Klassiker mit Furigana
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こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.989 Zeichen · 144 Bildschirme
総領の娘が生れた翌々年に今度は長男の子が生れる。次から次へと都合六人の男や女の子が生れて、教師になってから十七年目に、一家を挙げてG県へ引き移る時分には、恰も七人目の赤ん坊が細君の腹の中にあった。
東京に生い立って、半生を東京に過して来た彼が、突然G県へ引き移ったのは、大都会の生活難の壓迫に堪え切れなくなったからである。東京で彼が最後に勤めて居た所は、麹町区のF小学校であった。其処は宮城の西の方の、華族の邸や高位高官の住宅の多い山の手の一廓にあって、彼が教えて居る生徒たちは、大概中流以上に育った上品な子供ばかりであった。その子供たちの間に交って、同じ小学校に通って居る自分の娘や息子たちの、見すぼらしい、哀れな姿を見るのが彼には可なり辛かった。自分たち夫婦はどんなに尾羽打ち枯らしても、せめて子供には小ざっぱりとしたなりをさせてやりたかった。何処其処のお嬢さんが着て居るような洋服を買って欲しい。あのリボンが欲しい。あの靴が欲しい。夏になれば避暑に行きたい。そう云って子供にせがまれると、一と入不便さが増して来て、親としての腑がいなさがつく/″\と胸に沁みた。