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Japanische Klassiker mit Furigana

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しおかぜ

潮風

豊島 与志雄

Lesen Sie 潮風 (しおかぜ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.018 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

こんなに遅いんだもの。それに、あたし酔っちゃって……。」

だが片野さんは何かとぐずっていた。初めてのことではなし、もう分ってることだし、構わないようなものの、第一、彼は佐代子が嫌いだった。

「どうしてそう嫌うの、不思議ねえ。そんなにぶきりょうでもないし、正直だわよ。」

「正直は、ばかってことさ。虫がすかないんだよ。あんな奴、取換えちゃいなさいって、いつも云ってるの、分らないかなあ。図体が長くって、足がちんちくりんだ。頸筋が牛みたいだ。それに反歯ときてる。それだけでもう、女としてはゼロだ。眼がちょっと見られるからって、鼻が曲っていないからって、反歯の帳消しにはならない。それよりも、僕は虫がすかないんだ。あいつがいないと、ここの家ももっと繁昌するんだがなあ……。」

「しッ、聞えるわよ。あれだって、目をつけてるお客さんがあるのよ。」

「へえ、酔狂だな。」

「とにかく、泊っていくわね。」

片野さんは黙って、天井を見廻した。天井の上が、芳枝さんの室だった。

片野さんは腕をくんで、眼をつぶった。上体がふらふらしていた。それをなお心持ゆすってるのである。

俺はとんでいって、その耳に囁いた。