Japanische Klassiker mit Furigana
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しおかぜ
潮風
豊島 与志雄
Lesen Sie 潮風 (しおかぜ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.018 Zeichen · 25 Bildschirme
――泊っちまいなさい。女にはまけるものですよ。そして、明日から金儲けだ。ここの家も随分きたないじゃありませんか。金を儲けて、きれいに飾りたてるんですね。佐代子なんかも出しちゃって、きれいな娘を置くんですね。まあ万事、居心地よくすることですね。
片野さんはまだ眼をつぶったまま、上体をふらふらさしていた。
「さあ、どうしたの?」
片野さんは眼を開いて、芳枝さんの顔を不思議そうに眺めた。それからじっと宙に眼を据えた。
「そうだ、面白いことを考えついた。紙と……レターペーパーでいいから、それと鉛筆をかしてくれない。ちょっと仕事があるんだ。先に寝てなくちゃだめだよ。」
何のつもりか、片野さんは意地張り通した。ペーパーと鉛筆とを揃え、瓦斯ストーヴの上に薬罐をかけ、それで燗をすることにして、銚子を新たに一本用意さした。食べ残しの干物がまだ膳の上に残っていた。そしてそこで一人になることを主張した。芳枝さんは二階に上っていった。裏口のそばに、雑作改造の時に取残してある三畳の室があった。佐代子はそこに寝るのだった。板前の高橋とその姪の美智子は、いつも十二時には帰っていって、その晩も、片野さんが来た時にはもういなかったのである。