Japanische Klassiker mit Furigana
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みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme
「晋さん、晋さん、どうかしやしたんか。ほの青い顔」
一瞬、私は二つの疑問を持った。当時の多くの幼少年達がそうであったように、私は「兵隊さん」というものは強くて、勇しく、正しい人ばかりだと信じていた。そんな「兵隊さん」でも悪いことをするのか。そんな強い人を捕える、より強い人がいるのか。何かが崩壊する感情とともに、疑問は忽ち恐怖に変じた。私は戦慄を覚えた。
私は医者も恐しかった。外科の器具が恐しかったばかりでない。医者の前ではどんな偉い人も、強い人も等しく弱者の姿でしかないと思われたからである。
ある日、座敷の隣室で、女中のいさが片肌脱ぎになっている。やすも帯を解いている。春枝もそこへ入って来る。
「寒いことをせんならんのやな」と、やすが言う。
「何するのや」
「チュウシャ」と、いさが口を尖らせて言う。
突然、得体の知れぬ感情が湧き起った。その時、いさを呼ぶ母の声が座敷から聞えた。座敷には杉谷先生が来ているようだ。せめて春枝だけは座敷へやってはならない。春枝は既に帯を解いている。その肌を脱がせてはならない。
「行ったらいかん」
私は春枝の手にしがみついた。そこへいさが裸の腕を出したまま帰って来た。