Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme
夫人は妻と別れの挨拶を繰り返し、花井氏に附き添われて退院した。
後を附添婦に託し、妻はコバルトをかけるために、部屋を出る。
「奥さんはあまり肯定的ではなかったが、アメリカからの注射って、かなり利くらしいね。ほんとに見違えるように元気になられたものね」
「でもね、御本人にしてみれば、心の中ではどう思っていても、口では大丈夫とは言えませんものね」
「それは、そうだ」
「そうそう、そう言えば、いつか話してらっしゃった、上顎腫瘍の女の方ね、今朝、診察室で出会いましたわ」
「そうかい」
私の亡くなった先妻によく似た女の人のことである。あの時以来、その人のことが妙に私の心にかかった。待合所などで、私はそれとなく目を配ったが、その人の姿は見られなかったのである。
「入院しておられるのだろうか」
「そう、二階ですって。おとなしい感じのよい方ですわ」
「そうだ、そんな感じの方だったね」
「顎には放射線をかけているんですって。そうして目にはね、やはりアメリカから送って来る、目薬をさしているのですって。それで、目を手術しなくてすんだって、喜んでおられましたけれど」
「そうか、目薬ね。やはり飛行機だろうね」