Japanische Klassiker mit Furigana
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みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme
流木や、塵芥を拾っているらしい。
死のことを思うと恐しい。しかし物質的なものへの愛着のためではない。名誉欲のためでもない。また自分の分限もわきまえたつもりでいるから、自分の仕事への未練でもない。所詮は、親しい人との永別が名残り惜しいのである。しかし心身の苦しみがどんなものかは知らないが、死ねば皆無に帰すだろう。後に残った者の悲しみがどんなものか、亡くなった妻に先立たれて、私は知り過ぎるほど知っている。不意に、自分ながら極めて奇怪な感情が湧いて来る。
「どちらが先に駆けつくか」
「なんとおっしゃる兎さん」
空耳に、妻のような声を聞いたと思う。
「馬鹿、馬鹿、馬鹿もん奴が」
私はあわてて自分の心を叱りつける。白昼、私がそんな悪ふざけに耽るのも、或はそれほど死を恐れているのかも知れないが、そのいずれにしても、極めて愚劣なことであるには相違ない。
月曜日に、私は口腔外科へ行った。細胞の検査の結果は異状なかった由で、いつものように治療を受ける。治療後、柳田医師が言った。
「今日は、放射線科へ行かれますか」
「はい。まいりましょう」
「では、これを持って行って下さい」
私の最近の状態を記した紙片を渡される。