Japanische Klassiker mit Furigana
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みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme
悪夢のようでもあった。が、あのとき、いけないと思いながら、眠りの甘美さに身を任かせたような一瞬の、あまりはっきりした罪の意識を私はどうしようもないのである。
私は妻の肩揉むことも厭うたではないか。妻の眠られぬ苦しみにもさしての労りも示さなかったのではないか。まして、蒲団の火に驚いた私は、妻を畳の上に捨ておいて、真先に火を消したではなかったか。最早、なんのために妻はこの苦しみに堪えねばならないのか。
「死んでしまいたい。こんな中風なんかになって、皆にすまない」
三月、病気で倒れた当座、妻はそう言って泣きもした。
「そんなこと言うものじゃない。少しでも、僕の気持、通じたら、辛いだろうが、我慢してね」
その頃は、そうとも強く言い切れるほど、まだひねくれぬ妻への激しい愛情が、胸一杯に溢れていたものだった。
恐怖にも近い悔恨が、体中を駆け巡る。
しかし、最早十二時も近いというのに、妻はなに知らぬげに、静かな呼吸を続けている。息する力が弱まったとは心附かず、喉の鳴る音もあるかないか、ずっと楽になったようにも思われた。私はこんな安らかさの中に、死が迫っていようとは、どうしても信じられなかった。