Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

みおつくし

澪標・落日の光景

外村 繁

Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme

Aozora Bunko

「童貞みたいな穢いもん、早う捨ててしまえよ」

梶井は、中谷に反し、友人達にも愛想がよく、快活な面もあって、よくユーモラスな冗談も口にする。また酔えば威勢のよい狂態を演じた。

しかし梶井の笑顔と、快活とは、友人に対するサービス精神からのものでもあろうが、自分の精神は少しでも明るく保とうとする、自己偽装ではなかったか。梶井にとっては、この時代は決して平安な時期とは言えない。欠席日数も少くない。乱費による借金もあろう。彼の苦悩はそんな日常生活の乱れにも因るだろう。しかしその根源は彼の精神のもっと深奥部から発しているに相違ない。が、彼は「神」を呼ぼうとして、いつも「悪魔」を呼んでしまう。ある夜泥酔した彼は、

「おれに童貞を捨てさせろ」と、中谷にだだをこねて、聞かない。遂に中谷はむかっ腹を立て、彼を遊廓に伴ったという。

「梶井の奴、おれを恨んでやがるんや。ほんなこと知らんが」と中谷は言う。中谷のいう通りである。が、梶井の暗澹たる気持は理解できなくない。相変らず、露骨な猥談に耽っている私達に、あの彫りの深い顔をしかめて、梶井は言う。

「知らん奴にはかなわん。実感がないもんやで、平気で言いよる」