Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼくとうきだん

濹東綺譚

永井 荷風

Lesen Sie 濹東綺譚 (ぼくとうきだん) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.666 Zeichen · 114 Bildschirme

Aozora Bunko

唯今日まで二十年の間家族のために一生を犠牲にしてしまった事が、いかにもにがにがしく、腹が立ってならないのであった。

「お待ちどうさま。」思ったより早くすみ子は小走りにかけて来た。「いつでも、駒形橋をわたって行くんですよ。だけれど、兼子さんと一緒だから。あの子、口がうるさいからね。」

「もう電車はなくなったようだぜ。」

「歩いたって、停留場三つぐらいだわ。その辺から円タクに乗りましょう。」

「明いた部屋があればいいが。」

「無かったら今夜一晩ぐらい、わたしのとこへお泊んなさい。」

「いいのか、大丈夫か。」

「何がさ。」

「いつか新聞に出ていたじゃないか。アパートでつかまった話が……。」

「場所によるんだわ。きっと。わたしの処なんか自由なもんよ。お隣も向側もみんな女給さんかお妾さんよ。お隣りなんか、いろいろな人が来るらしいわ。」

橋を渡り終らぬ中に流しの円タクが秋葉神社の前まで三十銭で行く事を承知した。

「すっかり変ってしまったな。電車はどこまで行くんだ。」

「向嶋の終点。秋葉さまの前よ。バスなら真直に玉の井まで行くわ。」

「玉の井――こんな方角だったかね。」

「御存じ。」

「たった一度見物に行った。