Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぼくとうきだん
濹東綺譚
永井 荷風
Lesen Sie 濹東綺譚 (ぼくとうきだん) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.666 Zeichen · 114 Bildschirme
お雪はあの土地の女には似合わしからぬ容色と才智とを持っていた。群の一鶴であった。然し昔と今とは時代がちがうから、病むとも死ぬような事はあるまい。義理にからまれて思わぬ人に一生を寄せる事もあるまい……。
建込んだ汚らしい家の屋根つづき、風雨の来る前の重苦しい空に映る燈影を望みながら、お雪とわたくしとは真暗な二階の窓に倚って、互に汗ばむ手を取りながら、唯それともなく謎のような事を言って語り合った時、突然閃き落ちる稲妻に照らされたその横顔。それは今も猶ありありと目に残って消去らずにいる。わたくしは二十の頃から恋愛の遊戯に耽ったが、然し此の老境に至って、このような癡夢を語らねばならないような心持になろうとは。運命の人を揶揄することもまた甚しいではないか。草稿の裏には猶数行の余白がある。筆の行くまま、詩だか散文だか訳のわからぬものを書して此夜の愁を慰めよう。
残る蚊に額さされしわが血汐。
ふところ紙に
君は拭いて捨てし庭の隅。
葉※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)頭の一茎立ちぬ。
夜ごとの霜のさむければ、
夕暮の風をも待たで、
倒れ死すべき定めも知らず、
錦なす葉の萎れながらに