Japanische Klassiker mit Furigana
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ひなわじゅう
火縄銃
江戸川 乱歩
Lesen Sie 火縄銃 (ひなわじゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.117 Zeichen · 19 Bildschirme
僕は職権をもって調べに来たのだ」
「御調べになるのは御自由ですが、僕はその必要がないと思うのです」
「なぜ?」
「あなたはどうお考えか知りませんが、この事件は犯罪ではないのです。従って犯人もなく、犯行を調べる必要もないんです」
この橘の意外な言葉に、刑事も私も飛び上るばかり驚いた。
「犯罪でない? フン、じゃ君は自殺だと言うんだね」
刑事の言葉には、この若造が何を生意気な、という侮蔑の響が籠っていた。
「イヤ、勿論自殺じゃありません」
「それじゃ過失死とでも言うのかね」
「そうでもないんです」
「アッハッハハハハハ、これは面白い。他殺でもなく自殺でもなく、又過失死でもないか。じゃあいったいあの男はどうして死んだのだね。真逆、君は――」
「イヤ、僕はただ犯罪でないと言ったまでです。他殺でないとは言いません」
「わからないね、僕には――」
口ではそう言ったものの、刑事の顔にはまだ橘を揶揄する様な皮肉な微笑が泛んでいた。その刑事の顔色を見た橘は、グッと癪にさわったらしく、鋭く刑事を睨みつけて言った。
「ここで今私が説明しても、あなたには得心出来ぬかも知れませんから、明日その証拠をお見せしましょう」