Japanische Klassiker mit Furigana
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とうみょうのまき
灯明之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 灯明之巻 (とうみょうのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.444 Zeichen · 47 Bildschirme
同時に芬と、媚かしい白粉の薫がした。
爺が居て気がつかなかったか。木魚を置いたわきに、三宝が据って、上に、ここがもし閻魔堂だと、女人を解いた生血と膩肉に紛うであろう、生々と、滑かな、紅白の巻いた絹。
「ああ、誓願のその一、求児――子育、子安の観世音として、ここに婦人の参詣がある。」
世に、参り合わせた時の順に、白は男、紅は女の子を授けらるる……と信仰する、観世音のたまう腹帯である。
その三宝の端に、薄色の、折目の細い、女扇が、忘れたように載っていた。
正面の格子も閉され、人は誰も居ない……そっと取ると、骨が水晶のように手に冷りとした。卯の花の影が、ちらちらと砂子を散らして、絵も模様も目には留まらぬさきに――せい……せい、と書いた女文字。
今度は、覚えず瞼が染まった。
銑吉には、何を秘そう、おなじ名の恋人があったのである。
五
作者は、小県銑吉の話すまま、つい釣込まれて、恋人――と受次いだが、大切な処だ。念のため断るが、銑吉には、はやく女房がある。しかり、女房があって資産がない。女房もちの銭なしが当世色恋の出来ない事は、昔といえども実はあまりかわりはない。