Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とうみょうのまき

灯明之巻

泉 鏡花

Lesen Sie 灯明之巻 (とうみょうのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.444 Zeichen · 47 Bildschirme

Aozora Bunko

日も、懐中も、切詰めた都合があるから、三日めの朝、旅籠屋を出で立つと、途中から、からりとした上天気。

奥羽線の松島へ戻る途中、あの筋には妙に豆府屋が多い……と聞く。その油揚が陽炎を軒に立てて、豆府のような白い雲が蒼空に舞っていた。

おかしな思出はそれぐらいで、白河近くなるにつれて、東京から来がけには、同じ処で夜がふけて、やっぱりざんざ降だった、雨の停車場の出はずれに、薄ぼやけた、うどんの行燈。雨脚も白く、真盛りの卯の花が波を打って、すぐの田畝があたかも湖のように拡がって、蛙の声が流れていた。これあるがためか、と思ったまで、雨の白河は懐しい。都をば霞とともに出でしかど……一首を読むのに、あの洒落ものの坊さんが、頭を天日に曝したというのを思出す……「意気な人だ。」とうっかり、あみ棚に預けた夏帽子の下で素頭を敲くと、小県はひとりで浮かり笑った。ちょっと駅へ下りてみたくなったのだそうである。

そこで、はじめて気がついたと云うのでは、まことに礼を失するに当る。が、ふとこの城下を離れた、片原というのは、渠の祖先の墳墓の地である。

海も山も、斉しく遠い。小県凡杯は――北国の産で、父も母もその処の土となった。