Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、私の精神状態では、これ以上ピアノと取組むことは不可能であることを認め、強制すれば、又自殺しようという気になることを恐れて私を暫く自由にさせることを父や兄と相談の上でゆるしてくれた。私は、わずかなお金をもらっては、郊外へ散歩に出かけた。そして、詩ばかりをよんだ。朔太郎を私は愛した。その頃、詩をつくることもした。ある詩人が私の詩をみて、朔太郎が好きですね、と云った。それほど私は朔太郎にふれ、朔太郎から何ものかを受けていた。私は単身上京した。しかし流暢なアクセントになじめないですぐに帰って来た。私はやはり死に度いと思っていた。感傷ではなかった。唯、私は苦しみから逃避したかった。苦しみなんか、その年齢で全くナンセンスだと常識家の兄は嘲笑した。しかし、私の年齢でその苦しみは絶大のものであった。私は、自分の思う通りに生きてゆきたいと思い、それが不可能であることを理解していたのだ。それに私には力がなかった。根気や忍耐することが出来なかった。私は私流の考えで、戦争中の自分が羨しいとさえ思った。あの頃の余裕のない生活の方がまだしも楽であった。私は自分を磨滅させるようないそがしさがほしいと思った。