Japanische Klassiker mit Furigana
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ほのおのひと――ゴッホしょうでん――
炎の人――ゴッホ小伝――
三好 十郎
Lesen Sie 炎の人――ゴッホ小伝―― (ほのおのひと――ゴッホしょうでん――) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.035 Zeichen · 207 Bildschirme
が浮びあがって来る。
その最後の音とともに、人がうなされているような「ヒイイ」と言う声がして、階上の暗い寝室のベッドの上にヴィンセントが起きあがった姿が、戸外からの微かなガス燈の光で見られる。それがしばらく、ジッとして動かない。……ハミングは既にやんでおり、ファランドールもやむ。……間……そのうちに、遠い所でミサでもあるか、キリンカン、キリンカン、キリンカン、キリンカンと微かな鐘の音。それが次第に急調になって来る。ムックリ起き出したヴィンセントの姿が、しばらく突っ立ったままでいる。その黒いシルエット。シルエットが不意に動き出し、スッスッスッと寝室を出て階段を下りアトリエの中央に立つ。ベッドに寝かされる時に靴はぬがされているので、ほとんど足音はしない。……遠い鐘の音がますます急調に同時に、乱調になる。
ヴィンセント、自分の寝室に引き返すように、階段の方へ戻りかけ、再び立ち停り、無意識にポケットに入れた手が掴んだものを鼻の先へ持って来て見ている。(マッチとクレヨン)……マッチをする。その光で真青な彼の顔と、身のまわりだけが照らされる。その光の中の壁ぎわの低い台の上に、ランプが一つのっている。