Japanische Klassiker mit Furigana
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むだい(いち)
無題(一)
宮本 百合子
Lesen Sie 無題(一) (むだい(いち)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 20.502 Zeichen · 41 Bildschirme
私は貴方のかえるまで誰とも遊びますまい。私のまって居るのを忘れてはいやよ』って云って私を送ってくれた。ほんとうにさぞまっていたんだろう。そうだ私は」と嬉しさのこもった声で云って前よりも一層早足で歩き出しました。やがて向うに六角の家が見えました。あれこそ若い旅の人の家とローズの住居なんですの。
詩「見えた見えた」
と呼んだ人はもうたまらないと云ったように走り出しました。六角の家の南がわの家の一番すみの窓に向って笑をまじえた美くしい声をはりあげて、
詩「ローズローズ、今かえったの」嬉しさに声はふるえています、やがて階を下りて来るかるい足音がきこえ出しました。重々しい扉はかるく開かれて闇の中にういたように白い美くしいかおがあらわれました。旅人は両手を胸に組んでそのかおを見つめました。美くしいかおは「アラ」とはじかれたように旅人のそばによりました。桃色の着物に白い靴の乙女と、水色の着物に白いリボンをむすんだ赤皮の靴をはいたしなやかな生え初めたわらびの様な二つの体は重いとびらの前にういたように見えて、そよ風は乙女の黄金色の髪と詩人の白いリボンとをゆらしてどこかに消えて行きます。