Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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むだい(いち)

無題(一)

宮本 百合子

Lesen Sie 無題(一) (むだい(いち)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 20.502 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

手には白いかみとそして鉛筆をもって、

詩「ローズー、ローズ、まってたでしょう、行きましょう」窓の下で心地のいい声を上げました。

ロ「まってたの、早く行きましょう」机の上から何か小さい白い紙を取り上げました。二人のつり合った形のいい影は細い道をつたって森の中にかくれました。二人はなお遠く遠く歩きました。段々森のしげみが深くなって白百合の香が深くなって来ました。急に目の前に大きな水の緑の湖が開かれて向うの山はボーとかすんで居ます。二人はその岸の柔い草の上に坐を占めてしずかな世ばなれのした所で夢の中に居る様な柔いそして又たのしみの多い気持になって居ます。ローズは口を開いて、

ロ「アノ雪のひどく降る日貴方を出してから私は美くしい花びらを流の早い川に流した時の様な心地がして一日あの森の見える窓に立ちつくして居ましたの。心配でしたワほんとうに」と今更その時の様子を思い出す様な目をしました。年少い詩人もその時のたよりなかった時の心地から今日内にかえる時まで一寸の落もなく丁寧に話しました。まだ若くて珍らしいものをこのむローズの心には自分がいつか読んだ事のある物語がほんとうにあらわれて来た様な心地でききほれました。