Japanische Klassiker mit Furigana
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むだい(いち)
無題(一)
宮本 百合子
Lesen Sie 無題(一) (むだい(いち)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 20.502 Zeichen · 41 Bildschirme
けれ共さとい美くしい詩人の胸には若い人の心にふさわしい思い出がわき上りました。きっとそうだそうにちがいないと小さい腕を胸に組んで「有難う、雪の姫様。貴女は私が不断から雪をこのんで居るのでこうやってたすけて下さったのでしょう。ありがとう姫様」とふるえた小さい声で云って女の美くしい手の甲に唇をよせました。
女はかすかに身をふるわせながら「イイエイイエ、私はそんな者じゃあないんですの。ケドまア気がついてよかった。そうしてあなたはなぜこんな雪の日に一人旅をなさるの」「私は村から七里西の美くしい国に歌枕をさぐりに行くんです」「マア、そんな美くしい方があの美くしい国に行く、ほんとうに」と云ってその手を取ってだまってその美くしい瞳を見つめました。しばらく立って「行らっしゃい」美くしい女は立ち上りました。詩人はこのまままたつづいた旅をしたいんですけれ共何だか行かなくては悪いような、いつも自分を可愛がって呉れるとなりの十八の娘に会った時のようになつかしい、何かに引かれるような気持でだまったままそのあとにつきました。指のそろって長い女は赤いかわのギリシャの女神のはいて居るような靴をはいて白い衣の裾をヒラヒラと切ってかるくかるく行きました。