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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

とやるとすぐ大次郎より先に、大声に「悩!」と答えるので、これでは合言葉が合言葉にならない。

佐吉はますますまごつくばかりだ。

そればかりか出羽守は、今度は自分から、

「ぼん!」

と佐吉へ向ってさかんに呼びかける。

そこで佐吉が、

「悩!」

と答えて、そのもう一人の白頭巾へ斬ってかかると、そっちは大次郎なのだから、

「おい、おい、おれは伴だよ、出羽は向うだ。」

とあわてて呼ばわる。そうすると出羽守が、

「冗談じゃない。大次郎はおれだ。出羽はそっちだ! そっちだ!」

佐吉は、部屋の隅にぺたんと坐って、腕組みをして考えこんでしまった。

なんだか知らないが、馬鹿に利き目のあるおまじないだと、出羽守はさかんに、

「ぼん! ぼん! ぼん!」

と叫びながら、懸命に大次郎へ斬り込んで行く。

もう大次郎も真剣である。

刃と刃が軋み合い、火を吹くような息が絡んで「梅」の間の乱闘は、しばし続いた。

が!

どういう隙があったのか、この白頭巾の一人が、ひらり縁へ飛び出したかと思うと、

「出羽を押えろ、おれは下の千浪をちょっと見て来る。」

と佐吉へ言い残したと思うと、そのまま廊下を小走りに、階下へ下りて行った。