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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

ぼんやり坐って剣闘を眺めていた佐吉が、はっと我れに返ったように見ると、もう一人の弥四郎頭巾が先に出て行った一人の後を追って、これもいま部屋を飛び出そうとしているから、佐吉は、

「己れっ! 出羽! やるものか。」

とその男の足へしっかり抱きついた。

抱きつかれた白覆面は、大狼狽、

「おい、文珠屋、何をする。おれは大次郎だ、俺だ。出羽は今逃げて行ったじゃないか。」

「何を言やあがる。手前は出羽だ。ややこしくて頭が痛くならあ。」

「何を馬鹿なことを言う。離せ、離してくれ。出羽が逃げてしまうじゃないか。」

「だから、逃げねえように、おれがこうして押さえているのだ。」

「おい、佐吉。感ちがいをしてくれるな。おれだよ。」

と大次郎が、ひょいと頭巾を撥ね上げて顔を見せると、一目見上げた佐吉、なるほど正真正銘の伴大次郎なので、あっと手を離すが早いか、

「さては、今出て行ったのが出羽だったのか、畜生っ!」

叫ぶより早く、梯子段を駈け下りて、階下へ来て見ると、その出羽守が、

「うん、いや、何、あの女連れの侍は、ここの主人に押さえられておるよ。おれはちょっとそこまで、ははははは。」